ブレーカーの選定
1ブレーカーの種類
ブレーカーには、次の2種類があります。
(ブレーカーのメーカーにより、名称は異なります。)
①ブレーカー :過電流時に遮断
② 漏電遮断器 :過電流時に遮断及び漏電時に遮断
2トランス一次側にブレーカー接続
トランスは、通電開始時に、突入電流と呼ばれる短時間の大電流が流れます。
突入電流とは、変圧器に電源印加時、定格一次電流の約30倍前後の瞬時に流れる大電流のことです。
突入電流の値は、0.01 秒時の電流値(実効値)で表し、ほぼ1秒で減衰します。
突入電流とは、変圧器の鉄心を磁化させるため、瞬時に流れる励磁電流です。
突入電流の大きさは、トランス設計個々により異なり、また、電源印加時の交流電圧の印加のタイミングによっても異なります。
ブレーカー選定時は、ブレーカーの遮断特性グラフを確認し、0.01秒時の遮断電流と突入電流を比較し、これを満足するものを選定します。(メーカーにより、遮断特性は異なるため、確認必要)
例えば、
●単相1kVA ●一次電圧200V ●定格一次電流5A ●突入電流125Aのトランスでは、あるメーカーにてブレーカー10Aを選定すると、0.01秒時の遮断特性が15倍以上の場合、遮断電流は150A以上となり、突入電流の125A以上で使用可能となります。
ブレーカーには、変圧器用という0.01秒時の遮断電流値が特に大きい種類もあります。
この変圧器用ブレーカーを用いると、小さいブレーカー電流にすることができます。
ブレーカー選定にあたっては、幹線の上流のブレーカーの電流値以下にする必要があります。
なお、トランスの突入電流値は、任意の電流値より低く設定し製作することも可能です。但し、形状が大きくなります。
3トランス二次側にブレーカー接続
トランスの二次側に接続するブレーカーは、トランス定格二次電流以下に設定します。
定格電流以上のブレーカーを接続した場合には、過電流時にトランスが焼損する可能性があります。
よって、100%トランスを活用するためには、二次側に接続するブレーカーの値に合わせて、トランスの定格容量を設定する必要があります。
例えば、
●三相2kVA ●二次電圧200V ●定格二次電流5.8Aのトランスでは、二次側ブレーカーは通常5Aになり、トランスの最大使用可能容量は1.7kVAになります。
※総合カタログ「技術資料⑧」より