トランスの特性について
1定格とは
トランスを使用する上で、使用上必要な容量・電圧・電流・周波数の基準を規定するものです。
トランスは、定格容量を超えて連続で使用することはできません。
2電圧変動率とは
トランスの構成部材のコイルは銅線で作られていますが、
銅線には電気の流れ易さを表す抵抗があるため、電流が流れると電圧が低下します。
この二次側での電圧の無負荷時と定格電流時の変化の割合を電圧変動率と呼びます。
電圧変動率は、通常数%前後あります。
容量の小さなトランス程大きくなり、100VAでは約10%、100kVAでは約2%程度になります。
なお、電線の抵抗とは、例えば、水道のホースで、細いホースでは流量が少なく、
太いホースでは流量が多くなるような現象です。
参考に、他の金属では、銀<銅<金<アルミ<鉄<ステンレスの順に抵抗が大きくなります。
よって、電気機器では一般的に、抵抗・価格・加工性等から、銅が使われます。
3無負荷電圧とは
トランスには電圧変動率があり電流が流れると二次電圧が低下するため、
一般的に、実際の二次電圧を公称の二次電圧に対してあらかじめ約0~2%高く設定して、
定格電流が流れた時に二次電圧が低下しすぎないように設計しています。
この無負荷時の二次電圧を無負荷電圧と呼びます。
4無負荷電流とは
トランスは、二次側に何も接続せず一次側に電源を接続し、
通電すると、一次側に定格一次電流の約数%の無負荷電流と呼ばれる電流が流れます。
この電流は、トランスの鉄心を磁化させるためのアイドリングのようなもので、励磁電流とも呼ばれます。
5無負荷損とは
トランスは、鉄心を磁化させるための励磁電流が流れますが、
この電流によって、鉄心に損失が発生し発熱します。
この損失を無負荷損・鉄損と呼び、無負荷時でも、約数+度、鉄心のみで温度が上昇します。
6負荷損とは
トランスの二次側に負荷を接続し、定格電流を流した時に発生するコイルの損失を負荷損と呼び、無負荷と負荷損の和を全損失と呼びます。
7効率とは
トランスの効率は、定格容量と全損失の比率で表します。
効率 = 定格容量 ÷(定格容量+全損失)×100%
トランスの効率は、通常約95%程度です。逆に、損失は約5%となります。
小さなトランス程効率は小さくなり、100VAでは約90%、100kVAでは約97%程度になります。
※総合カタログ「技術資料③」より